2018年6月10日 (日)

ホワイトタイガー飼育に関する問題 その2

前回に続いて飼育下のホワイトタイガーについて
その背景にある問題について考えてみました。

1951年に1頭のホワイトタイガー捕らえられ、
そこから飼育下でのホワイトタイガーの繁殖が始まりました。
(詳細はこちら

「ベンガルトラ」の血統登録も
白変種の「Mohan」という個体から始まっています。
そのため、飼育下の「ベンガルトラ」という亜種について考えようとすると
どうしても「ホワイトタイガーの繁殖」問題が絡んできます。

日本で飼育されているトラの中で
アムールトラとスマトラトラは国際血統登録されています。
しかし、ベンガルトラは登録されていないため、
「トラ」と表示したり「ベンガル系トラ」と呼ばれています。
園によっては「ベンガルトラ」と表示してあるところもありますが、
純粋なベンガルトラであることは確認できません。
インド以外の動物園で飼育されているベンガルトラは
ほとんどが亜種間交雑種といわれています。

亜種間交雑種になった理由はいろいろあると思いますが、
やはり「ホワイトタイガーの繁殖」も関係していると思われます。

以前の記事に書きましたが、
白変種の「Mohan♂」とペアになったのは通常色の「Begum♀」。
通常色のベンガルトラとして血統登録された最初の個体はこのBegumです。

そしてBegumは3回出産し、通常色の子どもを10頭産んでいます。
成長できた子どものうちオスは、母親であるBegumと交配させられ、
通常色の子ども誕生させています。

また、Mohanの子ども同士の交配で産まれた子どもの中には、
ホワイトタイガーだけでなく通常色の子どももいました。

この通常色の子どもたちの何頭かが、アメリカへ送られました。
通常色であっても不自然な交配によって誕生したことに変わりなく、
Mohanとも血縁関係にあります。

その後、野生個体同士のペアから通常色の子どもが誕生していますが、
そのほとんどがインド国内で飼育され、国外へは移動していません。

時々、動物商やサーカスに移動していますが、
そのほとんどは、移動後の記録がありません。
ですから血統登録されていない個体の中には、
純粋なベンガルトラなのに記録がない個体もいるかもしれませんし、
サーカスなどで異なる亜種のペアから誕生した個体の可能性もあります。

そしてホワイトタイガーにも、サーカスで飼育されていた個体(出自不明)によって
亜種間交雑種が誕生します。

以前の記事で、Tonyという個体から
ホワイトタイガーにアムール系の血が入ってきたようだと書きました。
アメリカで飼育されているホワイトタイガーの流れには
大きく分けるとMohan系と Kubla/Susie系という2つの系統があり、
Tonyは、このKubla/Susie系です。

Kubla(通常色♂)の両親は野生個体ですが兄弟姉妹関係にあり、
しかも、「アムールトラ」として血統登録されています。

一方、Susie(通常色♀)の両親については不明ですが
サーカスで飼育されていた個体のようです。
Mohanと血縁があるかないかはわかりませんが、
確認できないので可能性は否定できません。

このアムールトラのKubla(♂)とベンガルトラのSusie(♀)で交配し、
さらに、2頭の間に誕生した通常色の子ども同士を交配させた結果
誕生したのがホワイトタイガーのTony(♂)ということのようなので
ここでも不自然な交配が行われています。

さらに、Tony(♂)はMohan系のKesari(通常色♀)とペアになり、
ホワイトタイガーや通常色の子どもを誕生させています。
つまり、またここでMohan系の血が入ってしまうのです。

北アメリカで飼育されているホワイトタイガーの多くは
Tonyの子孫であり、Tonyの登場によって、
近親だけでなく亜種間交雑という問題まででてきてしまいました。

大牟田市動物園のホワイティもTony/Kesari系と思われるので、
そうなると、アムール系の血も入っていることになります。

「ホワイトタイガー」としてではなく
「ベンガルトラ」として「種の保存」を考えても、
純粋なベンガルトラではないということになってしまいます。

日本で飼育されている通常色のベンガル系トラも、
純粋な「ベンガルトラ」であることが確認できない以上
交雑種という扱いになってしまうので
亜種まで厳密に考えた「種の保存」という枠からは外れてしまいます。

ホワイトタイガーだけでなく、
ホワイトタイガーを誕生させる過程で産まれてきた
通常色のベンガル系トラたちがいることも、
忘れてはいけないと思います。

日立市かみね動物園の公式ブログ(平成28年1月28日付)に
ベンガル系トラの繁殖に関する飼育員さんの思いが書かれています。

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(2015年9月 かみね動物園にて撮影)

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2018年6月 7日 (木)

ホワイトタイガー飼育に関する問題 その1

以前、「ホワイトタイガーの闇」という記事を書きましたが、
大牟田市動物園の掲示が数日前からツイッターで話題になっています。

ただ、中には背景にある問題を正しく理解していない人もいるようで、
間違った理解のまま広められるのもコワイことだと感じました。

日テレでも取り上げられたようで、
私も日テレNEWS24のリピート放送を見ましたが、
ちょっと違う・・・というか、誤解を招くと感じる部分がありました。

「国内での飼育数が少なく、
よい相手を見つけることが難しいため、
やむを得ず親子や兄弟で繁殖させている」と
説明していましたが、そこは少し違うと思います。

その説明だと、コビトカバなども似たような状況になりますが、
飼育下のホワイトタイガーは、
はじまりが親子での交配だったのです。
そこから、親子や兄弟姉妹間での交配が重ねられてきました。

そのため、多くの個体が
斜視や関節形成不全などの病気を抱えています。

はじまりの「Mohan」という個体以降、
野生個体は捕らえられていないようなので、
国内どころか世界中の動物園を探しても、
まったく血縁のないホワイトタイガー同士がペアを組むことは
おそらくできないでしょう。

詳しくは、こちらの記事に。

ですから、動物園で飼育されている他の動物とは
かなり事情が違うと思います。

大牟田市動物園の公式ツイッターでは、
「ホワイトタイガーについての正しい理解が広まることを願っております」
とツイートしていますが、私もそう願っています。


ブログ内関連記事:ブリーダーから見放されたホワイトタイガー「Kenny」

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「Turpentine Creek Wildlife Refuge」に保護されたKenny。
↑「Newsletter 2018年春号」(P.14)に記事があります。

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2018年5月30日 (水)

千葉市動物公園の旧アメリカバイソン舎

昨年5月に行ったときには、
4月に生まれたアメリカバイソンのラテちゃんを見て、
どのように成長していくか、また見たいと思っていました。
(2017年5月の記事はこちら

ところが、千葉市動物公園ではアメリカバイソンの飼育をやめたようで
ヒートさんとラテちゃんは今年3月に上野動物園へ移動となりました。
(お父さんのターバンさんは、昨年12月に姫路セントラルパークへ移動)

3月に上野へ行ったときにはまだ来園していなかったので、
結局、まだ見られていませんが、
旧アメリカバイソン舎の前にはこんな掲示がありました。

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ムフロンとトナカイも他園に移動となるようで、
(モウコノウマは園内の非公開区画に移動)
6月3日にお別れガイドが開催されます。


ちなみに、別のゾーンですがミーアさんの展示場も改修中。

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2018年5月28日 (月)

千葉市動物公園のフタユビナマケモノ

今回、2017年5月30日に誕生したナマケモノのお子さんも
ぜひ見たいと思っていたのですが、
スコールの時間前からかなり粘ってみたものの
この日はエサを食べに来てくれませんでした。

動物科学館内のバードホールでは、
ナマケモノを見つけるのはかなり難しいですが、
木の間からチラリと姿が見られました。

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中央の木にいた方は、少しだけ顔が見えました。

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右の方にある木の間にもいたようですが、
顔は見えませんでした。

どっちが親子だったのかしら???

親子の様子が見られず残念・・・と思っていたら、
なんと翌日、公式サイトに
「おばあちゃんの愛称で親しまれていた
フタユビナマケモノが亡くなりました」という
お知らせが出ていました・・・。

「おばあちゃん」は推定30歳という超高齢で出産し、
約1年間しっかりと育ててから旅立っていったのですね。

1歳になる前にお母さんが旅立ってしまったけれど、
ギリシャ語で「奇跡」を意味する「テラス」と名付られたお子さんが、
これからも元気に暮らせることを願っています。

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2018年5月27日 (日)

千葉市動物公園のヘビクイワシ

今回、モンキーゾーン以外は
あまりじっくり見なかったのですが、
ヘビクイワシが日光浴(?)している場面を見ることができました。

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この後、もう1羽がお部屋から出てきたら、
慌てたようにスクッと立ち上がりました(^^)。

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2018年5月26日 (土)

千葉市動物公園のフクロテナガザル

今回は、アビシニアコロブスの赤ちゃんがメインでしたが、
フクロテナガザルの「歌」もしっかりと聴くことができました。

動物園に到着したのは11時少し前で、
ちょっと遅めだったのですが、
入園券を買っているときにすでに聞こえてきました。
あの声が・・・。

前回(2017年5月)の記事はこちら

急いでお金を払って、早歩きでモンキーゾーンへ向かったのですが、
すでに終了していたので、コロブスさんのところへ行き、
またしばらくしたら聞こえてきました。

歌い終わるとまたコロブスさんのところへ戻り、
歌が聞こえてきたらまた行って・・・を繰り返し、
この日は、11時10分頃、11時半頃、13時少し前の3回聴くことができました。

「歌」は、何度聴いても楽しい(^^)。

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この日はハートさんの方が積極的だった感じ。


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歌はだいたい5分程度で終わるのですが、
もっと聞きたいと思った幼稚園児たちが
一斉に大きな声で「がんばれ~」と叫んだり、
カメラマンがフラッシュ撮影するなど、
遠足に関してはまたいろいろと気になることがありました。

遠足前に、説明とかはないのでしょうか・・・。

ブログ内の関連記事はこちら


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ブレイブ君、よく見るとイケメンな感じです(^^)。


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2018年5月25日 (金)

千葉市動物公園のアビシニアコロブス 赤ちゃん

千葉市動物公園でアビシニアコロブスの赤ちゃんが
5月19日に誕生しました。
しかも、公式ツイッターには5月20日には公開されていると
書かれていました。

翌日から公開なんて、早っ!

ズーラシアや上野でアビシニアコロブスが誕生するたびに
白いうちに見たいと思っていましたが、
こんなにすぐに公開されるなんて驚きです。

ズーラシアでの限定公開でも、1ヶ月以上たっていました。
(当時の記事はこちら

こんなチャンスは滅多にないと思うので、
週末にお仕事がんばることにして
赤ちゃんを見に行ってきました!

檻なので撮影が難しいのですが、
お母さんはけっこう赤ちゃんを見せてくれていました。

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まだ、かなり小さいですね。

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大人はサラサラのストレートなのに、
赤ちゃんはクセ毛なのも謎ですね(^^)。

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カワイイ(^^)。

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上のお子さんがちょっかい出していました。

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平日だったのでじっくりと観察することができ、
いろいろな場面を見ることができました。

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それにしても、告知が地味すぎ・・・。

こんなに早い時期に見られるなんて、
とても貴重な機会なのに、「生まれました」と書いてあるだけなのが
もったいないと思いました。

赤ちゃんが見えない位置にいると素通りしてしまったり、
小さいコ(大人と同じ色)を赤ちゃんだと思ったりして、
白い赤ちゃんを見ないで行ってしまう家族も多かったです。

千葉市動物公園へ行く方は、
ぜひ白い赤ちゃんを見てくださいね!

生後3ヶ月ぐらいたつと、色はこんな感じになります。
(2014年上野動物園での記事はこちら

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2018年4月16日 (月)

ブリーダーから見放されたホワイトタイガー「Kenny」

前回につづいて、ホワイトタイガーの話です。

アメリカではトラをペットとして飼うセレブも少なくないようで、
ホワイトタイガーのブリーダーが存在しており、
繁殖に関する問題は深刻です。

2000年には、ブリーダーの施設から保護された
「Kenny」というホワイトタイガーが注目されました。

以下、「Turpentine Creek Wildlife Refuge」
(ターペンタイン・クリーク野生動物保護財団)のNewsletter や
「The Dodo for animal people」というサイトの
「This Is Why No One Should Ever Breed White Tigers」
(2015年12月5日付)という記事などからの情報です。


Kennyは当時1歳半ぐらいでしたが、
顔があまりに一般的なトラとかけ離れていたため、
お金にならないと考えたブリーダーが
ターペンタイン・クリーク野生動物保護財団のスタッフに連絡して
引き取ってもらったようです。

ブリーダーはKennyが
「いつも壁に顔をぶつけている」と言ったそうですが、
そうでないことは明らかでした。

Kennyの顔は、不自然な交配によるものです。
(不自然な交配については前回の記事に)

「Turpentine Creek Wildlife Refuge」にて、
一緒に保護された兄弟のWillieと一般公開されたときの映像。
Willieにも、斜視などがあったようです。
(5分50秒ぐらいから、Kennyの顔がよくわかります)

ブリーダーにとってはお金にならない個体でしたが、
ここに来てからKennyは多くの人に愛されたとのこと。

Kennyはダウン症だという報道が多くあったようですが、
ターペンタイン・クリーク生物保護財団の動物学者、Emily McCormack氏は、
それを否定しています。

運動場を駆けまわり、プールで遊ぶなどして元気に暮らしていましたが、
2007年、腹部に大きな腫瘍ができて手術をしたものの、
2008年に再発し、肺にも転移して他界。

一般的にトラは20年以上生きると言われている中で、
10歳というのは短命です。

しかし死後も、ホワイトタイガーの繁殖について
一般の人に理解してもらうために、
Kennyの存在は大きな役割を果たしているようです。

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↑「Newsletter 2018年春号」(P.14)にも、
Kennyのことが書かれています。

「Turpentine Creek Wildlife Refuge」公式サイト→
「Events&Updates」→「Newsletter Archive」で
過去のNewsletterも読めます。

2005年7月号(P.4)にKennyが保護されたときのことや
ホワイトタイガーの繁殖に関する問題、
2008年7月号(P.4)に死因などが書かれています。

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2018年4月13日 (金)

ホワイトタイガーの闇

前回の記事に書いたように、
来園者が激増してじっくり観察できない動物園がある一方で、
地方には、来園者が少なくて困っている動物園もあります。

そのような中で、様々な取り組みを行って
閉園の危機を乗り越えた動物園があります。

例えば、大牟田市動物園(福岡県)は、
園全体で積極的にエンリッチメントにも取り組んでいますが、
2018年3月1日付の公式ブログには
「ホワイトタイガーのことをたくさんの人に知ってもらい、
考えてもらうきっかけになれば・・・」という思いを込めた、
ある掲示に関する説明が書かれていました。

掲示されている内容を簡単にまとめると、

「今後ホワイトタイガーは飼育しません」

ホワイトタイガーは不自然な交配を繰り返したことにより、
その多くが斜視や関節形成不全などの病気を抱えている。
このまま増やしていいのか、みんなにも考えてほしい。

ということです。

(詳しくは公式ブログを読んでください)

もちろん、現在飼育している個体(ホワイティ)は
健康で長生きできるように大切に飼育していくけれど、
繁殖や新たなホワイトタイガーを飼育する予定はない、
ということだと思います。

私も以前、ホワイトタイガーについて調べたことがありました。
でも、あまりに衝撃的だったので、
そのときは記事にする気持ちになれませんでした。

それを伝えようとしている大牟田市動物園は、
「教育」という役割を果たすことや、
動物にとっての「幸せ」について、真剣に考えているのだと思います。

大牟田市動物園の掲示を見て関心を持った方もいると思うので、
私が調べたことも書いておきます。

ホワイトタイガーはベンガルトラの白変種であり、
「ホワイトタイガー」という種がいたわけではありません。
でも今となっては、人間の身勝手さが作り出した、
飼育下でのみ存在する「種」になってしまったように思えます。

かつては野生でもベンガルトラの白変種が確認されていましたが、
もともと数が少なかったのにハンターたちに狙われるなどして
現在では見られなくなりました。

最後に捕らえられたのは1951年と言われています。
インドのRewaにある森で、
ハンターに殺された母トラが連れていた4頭の子トラのうち、
1頭がベンガルトラの白変種でした。
このトラが、動物園で飼育されている「ホワイトタイガー」の始まりです。

Rewaのマハラジャ(王)はそのトラを
「Mohan」と名付けて宮殿で飼育し、
成長したら通常色の「Begum」と交配させました。

しかし、Begumは3回出産したものの、
生まれた子どもはすべて通常色でした。

ホワイトタイガーは、潜性(劣性)遺伝なので、
通常色(WW)×ホワイト(ww)で交配すると
通常色(Ww)になってしまうのです。

「通常色(WW)×通常色(WW)」
「通常色(WW)×通常色 (Ww)」
「通常色(WW)」×ホワイト(ww)」

これらの交配では通常色のトラしか生まれず、

A「ホワイト(ww)×ホワイト(ww)」
B「通常色(Ww)×ホワイト(ww)」
C「通常色(Ww)×通常色(Ww)」

Aなら白変種、
BとCなら通常色または白変種が生まれます。

おそらく野生では、主にCのペアから、
まれに白変種が誕生していたのでしょう。

しかし、人間は「まれに」を待てず、
どうしても、すぐに白変種を誕生させたかったので、
MohanとBegumの間に生まれたメスのうちの1頭、
Radha(Ww♀) とMohan(ww♂)を交配して
4頭のホワイトタイガーを誕生させます。

子トラのうちアメリカの動物園へ送られたMohini(ww♀)は、
MohanとBegumの間に生まれたSampson(Ww♂)、
つまり母親Radhaの兄(弟)であり、
自分とも父親が同じ兄と交配され、
複数回、子トラを誕生させています。

その子どものうちの1頭Kesari(Ww♀)は、
アムールトラとベンガルトラとの交配を経て誕生した
ホワイトタイガーのTony(ww♂)と交配され、
新たなホワイトタイガーを誕生させています。

その子どもたちである
Sumita(ww♀)、Bhim(ww♂)、Kamala(Ww♀)なども
兄弟姉妹で交配され、
ストライプのないホワイトタイガーや
ゴールデンタイガーと呼ばれる毛色の個体も生まれています。
このような毛色が誕生したのはTonyとの交配後、
つまり、アムールトラの血が入ってきてからのようです。

1985年に宝塚ファミリーランドへ送られて
シロタン、シロリンと呼ばれた個体も、
Kesari(Ww♀)とTony(ww♂)の子どもである
Sumita(ww♀)とBhim(ww♂)のペアから誕生したようです。

そして、大牟田市動物園で飼育されているホワイティは、
シロタンとシロリンのペアから生まれたリュウ(ww♂)と
通常色のケープ(Ww♀)から2001年に誕生しました。
ケープの父バースは、Bhim(ww♂)とKamala(Ww♀)の子のようです。

※アムール系の血が入っている個体は
ベンガルトラとして血統登録がなく、
動物園でも公表していないので
シロタンなどの出自については「~のようです」としておきます。

ケープの母親についてはわかりませんでしたが、
日本で飼育されているホワイトタイガーも
かなり近い関係で交配されてきたことがわかります。

現在、世界各地の動物園で飼育されているホワイトタイガーは、
このような不自然な交配によって誕生してきたのです。

そのため、トラ本来の能力がない個体もいるようで、
短命だったり、斜視、脚に障害がある個体も多くいます。

大牟田市動物園は、「人気があるから」と、
このまま繁殖を続けていってよいのか?ということを
来園者にも考えてほしいと、掲示をしています。

非常に難しい問題ではありますが、
考えていかなければならないことだと思います。

私が大牟田市動物園へ行ったときには
まだこの掲示はありませんでしたが、
ほかにもいろいろな掲示がありました。

お金の使い道などもきちんと書かれていると
寄付などもしやすくなりますね。

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(2016年12月 大牟田市動物園にて撮影)

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2018年4月12日 (木)

混雑する動物園

前回記事を書いてからずいぶん間があいてしまいましたが、
久しぶりに上野動物園へ行ったら、いろいろと考えてしまいました。

シャンシャン効果で来園者が激増し、
シャンシャンを見られるのはたった2分間。
もちろん、見られただけでもラッキーなのですが、
なんだかモヤモヤとした気持ちになりました。

テレビなどの映像ではなく、
現地で見ることにも意味はあると思います。
でも、「カワイイ」「見られた!」だけで終わってしまうのは、
とてももったいないと思います。

いろいろな動きや親子の関係など、
じっくりと観察するからこそ見えてくることもたくさんあります。
でも、あの状況でそれはできません。

そして、園内全体が混雑しているので、
他の動物もじっくりと観察することができなくなっていました。

見やすい場所は譲り合うのがマナーなので、
後ろの人と交替しなければ・・・などと気にしていると
気持ちも落ち着かないし、時間的にも制限がでてきます。

結局、今までのようには楽しむことができませんでした。

来園者が少ないと、動物園を維持していくことが難しく、
動物たちの飼育環境にも影響が出てきます。

でも、あんなに混雑していては、
動物園として「教育」の役割を果たすことが難しいと思います。

例えば、ホッキョクグマを見ていたら、とても残念な声が聞こえました。

「ホッキョクグマってバカなんじゃないの!」と
大きな声で言っている女性がいてビックリ。
混雑していたのでどんな人が言っていたか見えませんでしたが、
もし、お子さん連れのママだったらなおさら残念です。

扉が開いていないのに何度もウロウロしているから
そう思ったようですが・・・。

「ウロウロしている」のは常同行動の場合もありますし、
同居中なのでお互いの様子をうかがいながら
タイミングを待っている場合もあるでしょう。
いずれにしても、「バカ」なのではありません。

動物の行動が気になったのなら、
なぜそのような行動をしているのか飼育員さんに聞いたり、
帰宅してから調べたりすることが
動物園へ行く意味の1つだと思います。

「バカじゃないの」とか「気持ち悪い」などと大声で言うのは
動物に対しても失礼ですし、周囲の人も不快な気持ちにさせます。

そのような人に対して何の教育もできないまま、
そのまま帰してしまってよいのでしょうか。

ニシゴリラ舎の前では、遠足で来ていた園児たちが
いろいろとマナーが悪かったのですが、
引率の先生は「押しちゃダメよ」などと口で言うのが精一杯で
1人ひとりの子どもに目は行き届いていませんでした。

動物に関する解説をする余裕もなく、
混雑する中で「ただ見せて終わり」という感じでした。

シャンシャン効果で来園者が増えても、
動物に関心を持つ人が増えたかどうかは疑問です。
せっかく来園者が増えたこの機会を
一過性のブームで終わらせないために
何かできることがあるのではないでしょうか。

シャンシャンによる経済効果は相当なものだと思うので、
動物たちの幸せに繋がるように活かしてほしいです。

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(2018年3月 上野動物園にて撮影)

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