2018年12月 5日 (水)

国内で飼育されているアフリカゾウのオス

盛岡市動物公園で飼育されていた
アフリカゾウの「たろう」が11月29日に急死したという
悲しいお知らせがありました。

解剖検査の結果、死因は
慢性気管支肺炎による呼吸不全と推定されたとのこと。

同園で飼育されているアフリカゾウは
メスの「マオ」だけになりました。
2頭はとても仲がよかったようなので
1頭になってしまったマオさんの今後が心配です。

もともと多摩からのブリーディングローンなので、
多摩へ戻ることも考えられますが、
マオさんを含めたアフリカゾウの今後について
情報を整理してみました。

国内で飼育されているアフリカゾウ(サバンナゾウ)は
全部でおそらく32頭、圧倒的にメスが多く、
オスは5頭しかいません。
(サファリ系など、正確な頭数が不明な施設もあるので、
合計が違っているかもしれません)

2016年4月には、とべ動物園で飼育されていた
「アフ」♂が夜間寝室にて転倒し、
循環不全を起こして急死。
国内で唯一、家族で暮らすアフリカゾウのお父さんだったので
とてもショックなニュースでした。

現在国内で飼育されているオスのサバンナゾウは、

八木山動物公園 ベン(29歳) 南アフリカより1990年8月来園
大森山動物園 だいすけ(29歳) 南アフリカより1990年9月来園
姫路セントラルパーク ヒロ (推定37歳) 南アフリカより1984年来園
安佐動物公園 タカ(27歳) 姫路セントラルパークにて1991年5月29日誕生
多摩動物公園 砥夢(9歳) とべ動物園にて2009年3月17日誕生

この5頭です。

八木山動物公園と大森山動物園では、
来園当初から一緒に暮らすペアからはなかなか赤ちゃんが誕生しないため
繁殖プロジェクトにより、今年9月~10月に両園のメスを交換しています。

安佐動物公園では、
姫路セントラルパークで誕生したタカ♂(27歳)と
多摩でマオを含む2頭の子どもを産んだアイ♀(推定36歳)のペアで、
(2011年11月17日に安佐へ移動)
積極的な取り組みを続けています。

「東京ズーネット」2018年6月15日付の記事によると、
交尾行動は見られたようですが、妊娠にはいたっていないとのこと。

姫路セントラルパークに関しては
繁殖に関する情報が見当たらず、
積極的に動いている感じではありません。

この状況の中で、今後マオさんがどこへ行くのか。

もし、多摩へ戻って砥夢君との繁殖を待つ・・・となってしまうと、
オスの子どもが誕生しても
とべの媛ちゃんや砥愛ちゃんと血縁があるので、
パートナーにすることができません。

では、どこへ行くのがよいかと考えたとき、
もう1つの問題が見えてきます。

安佐にいるメイちゃんと、
秋吉台自然動物公園にいるダイ君という
2頭のマルミミゾウの問題。


Photo
マルミミゾウのメイちゃん。
(2015年11月 安佐動物公園にて撮影)

国内にいるマルミミゾウはこの2頭だけです。
ならばやはり、この2頭が一緒に暮らせるように
移動させてあげたいと思うのですが、
いろいろと事情があるのか実現していません。

安佐は、施設などの関係で、
サバンナゾウのペアに加えて
マルミミゾウのペアも飼育するのは無理なのでしょう。

しかし、秋吉台では以前、
マルミミゾウのメスを飼育していたので
施設的には大丈夫なのではないでしょうか。

メイちゃんが秋吉台へ移動すれば
2頭とも推定18歳ぐらいなので、
ペアになることも可能だと思われます。
同じ種が一緒にいることが自然ですし、
時期を逃さないうちに、決断してほしいです。

メイちゃんが移動できたなら、
マオさんが安佐へ行くこともできるのではないでしょうか。
安佐にいるアイさんは、マオさんの母親です。

タカ君(27歳)とマオさん(16歳)のペアもありだと思いますし、
赤ちゃんが誕生したときに
育児経験のあるアイさんが一緒なのは心強い。
もしかしたら、アイさんとタカ君の関係にも
よい変化が起きるかもしれません。

・・・などと勝手に考えていますが、どうなるのでしょうか。

姫路セントラルパークでタカ君が誕生したときは、
オスが2頭もいて常に競い合い、
5頭のメスから相性のいい個体を選ぶことが出来たそうです。

繁殖を成功させるには、ペアだけの飼育より
やはり複数で飼育できる環境というのが重要なのでしょう。

マオさんが仲間と暮らせるように、
そして2頭のマルミミゾウも一緒に暮らせるように
移動計画が検討されればいいなと思います。

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サバンナゾウのタカ君。
(2017年5月 安佐動物公園にて撮影)

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2018年11月23日 (金)

ズーラシアの自販機

過去にも「ズーラシアの自販機」というタイトルで
いくつか記事を書いていますが、
私は「お茶派」なので、季節の変わり目に
「温かいお茶」がないことにいつも困ります。

そして今回も、温かいお茶は見当たりませんでした。

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(わくわく広場前の自販機 2018年11月撮影)

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(わくわく広場前の自販機 2018年11月撮影)

そもそも温かい飲み物が少ない上に、
コーヒーやコーンポタージュなどばかりで
温かい「お茶」がありません。

ほかの自販機も、同じようなラインナップでした。

今回は短時間の滞在だったので
家から持参したマイボトルで足りましたが、
もう少し長い時間だと飲みきった後が困ります・・・。

動物園では「温かいお茶」は、
そんなに需要がないのでしょうか???

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2018年11月22日 (木)

ズーラシアのボウシテナガザル

時間ができたので、ちょこっとズーラシアへ行ってきました。

14時からの「飼育員のとっておきタイム」は
ボウシテナガザル。

この日の当番はゴマ君。
「飼育員のとっておきタイム」がある日に会えたオスは
ずっとラシット君かゴピット君だったので、
6年ぶりぐらいにやっと会えました!

「飼育員のとっておきタイム」のときでないと、
オスを識別できていなかったのですが、
ゴマ君はとても識別しやすいことがわかりました。

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白い毛が少なくて、目が印象的。

そして、変な動きをします(^^)。
人工哺育の時期がけっこう長かったこともあり、
サルっぽくない動きをするそうです。

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これも変な動きなのかな?
他のオスでは見たことない動きでした。

サルっぽくない動きをしてしまうせいか、
コーリーさんにフラれてしまったそうです。

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コーリーさん
(2017年4月撮影)

前回の「飼育員のとっておきタイム」で
日本モンキーセンターからやってきたコーリーさんは、
ゴマ君とのペアを目指していると聞いたのですが、
コーリーさんがゴマ君を気に入らなかったとのこと。

そして、次にラシット君とペアにしたところ、
コーリーさんはラシット君を気に入ったのですが、
ラシット君がコーリーさんを受け入れなかったようです。

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たぶんラシット君(2015年12月に撮影)

ラシット君はあまりメスに興味がないようで、
以前ズーラシアにいたマキコさん(現在はとべ動物園)との間に
しまこさんが誕生していますが、人工授精でした。

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しまこさん(寝癖のような髪型が見分けるポイント)
(2017年4月撮影)

残るゴピット君は、しばらく体調を崩していたそうですが、
最近復活してきたので、様子を見ながら
コーリーさんとの相性を見ていくとのこと。

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ゴピット君(2016年3月に撮影)

今まで家族関係なども知らなかったのですが、
ゴピット君とマキコさんの間に誕生したのが
ゴマ君だとわかりました。

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マキコさんとゴピット君のツーショット
(2016年3月に撮影)

マキコさんはゴマ君を産んだ後体調が悪くなり、
けっこう長い間人工哺育になったそうです。
しまこさんの時も体調を崩したけれど、
1年後ぐらいに母子を一緒にすることができたとのこと。

ですが、テナガザルはペアが基本なのに
母子だけで暮らしていたので
しまこさんは「オス」の存在を知らずに育ってしまいました。
さらに、途中まで人工哺育だった影響もあり、
やはり、少し変わったところがあるようです。

ゴマ君としまこさんは異父兄妹ということになり、
ペアになることはできません。

現在、国内で飼育されているボウシテナガザルは、
日本モンキーセンターの4頭、
とべ動物園の4頭、ズーラシアの6頭です。

モンキーセンターにいるのは、
カン♂、カナコ♀(コーリーさんの両親)、
トリック♂(コーリーさんの弟)、
ドント♂(超高齢)。

とべにいるのは、
クロ♂(高齢)、シロ♀(高齢)、マキコ♀(高齢)、あっちゃん♂。

ズーラシアにいるのは、
ゴピット♂、ラシット♂、ゴマ♂、
コーリー♀、しまこ♀、りつ子♀(超高齢)。

飼育下でのボウシテナガザルの寿命は
一般的に30歳~40歳といわれている中、
りつ子さんは50歳ぐらいの超高齢。
目が白くなってきてはいるものの、
バックヤードで元気にしていているそうです。

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2018年11月18日 (日)

オスのオランウータンが「学習」できる環境

前回の記事で参考にした『動物たちの世界』(朝倉繁春著)には、
モリーさんやジプシーさんの出産についてだけでなく、
ジローさん♂についても興味深い話が書かれています。

ジローさんは上野動物園で飼育されていましたが、
ジプシーさんのペアだったドン・ホセの死後、
1975年に多摩へ移動となりました。

当時多摩には、ジプシーさん、ジュリーさん、サリーさん、
そしてまだ小さいチャッピーさん、7歳のキュー君がいました。

上野では、モリーさんとの間に敬太が誕生していたので、
(モリーさんの娘・初子との間にも赤ちゃんができたが死産)
多摩でもオスとしての活躍が期待されていましたが、
多摩に来てから1年たっても、「その気」にならなかったそうです。

ジローさんがなぜそうなったのか、原因がわからずにいたところ、
上野で飼育担当だったK氏が多摩を訪れたら、
ジローさんは急に、メスたちに接近し始めて「その気」を見せたそうです。

しかし、K氏が帰ると、またもとの状態に。

その後、ジローさんを観察していると、
多摩の飼育担当であるM氏が関係していることが判明。
M氏がいないときや、他の人と話しているときなどは、
ジローさんの動きが活発になることがわかりました。

M氏はオラン飼育の超ベテランで、
背も高く、体格もよかったので
ジローさんはM氏に一目おいていたようなのです。

しかし、次第にM氏への遠慮も薄れてきて、
多摩に来てから1年2ヶ月で「その気」になり、
ジュリーさん、そしてジプシーさんとの間に赤ちゃんができました。

ジュリーさんは死産でしたが、ジプシーさんとの間に
キャンデーさんが誕生。

同書には当時のフィールドノートからの引用があり、
ジプシーさんとジローさんのラブラブぶりなども書かれています。

ジローさんは、すっかり「その気」を取り戻し、
多摩にいたすべてのメスと赤ちゃんを作りました。

ジプシー→キャンデー
ジュリー→死産
サリー→テリー(北京へ移動後1998年に死亡)、ロリー(釧路)
チャッピー→死産

その後、ジローさんは、1995年に他界。

フィールドノートには、ジュリーさんとジローさんの交尾を
「サリーとキュー君が近寄ってみている」とも書かれていて、
近寄って見られる環境だったことがスゴいです。

当時のキュー君にとってはこれがよい「学習」の機会となったようで、
この後キュー君は、メスに興味を持ち、
交尾のまねをするようになったとのこと。

そして数年後、キュー君はジュリーさんとの間にジャック(旭山)、
チャッピーさんとの間にはキューピー(2003年に死亡)、ハッピー(フェニックス)、
サリーさんとの間にユリー(2003年に死亡)が誕生しました。

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(2017年3月 多摩動物公園にて撮影)

キューさんは現在、推定49歳で、オスのオランウータンでは国内最高齢です。

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2018年11月16日 (金)

授乳できなかったオランウータンの「学習」

国内で誕生したオランウータンが
人工哺育になった事例をみると、
母親が赤ちゃんを乱暴に扱うとか、育児放棄するより
「授乳できない」ケースが多いようです。

王子動物園の機関誌『はばたき』などによると、
バレンタインさんがムム君を産んだときも
バレンタインさんは、ビックリするほど丁寧に、そして慎重に
赤ちゃんを抱き上げていたそうですが、
授乳ができませんでした。

以前、金沢動物園で開催された
「平成27年度 よこはまのどうぶつえん 公開飼育研究会」で
担当飼育員さんの発表を聞きましたが、
チェリアちゃんちゃんのときも、
バレンタインさんはチェリアちゃんを
しっかりと抱いていたのに授乳する様子が見られず、
チェリアちゃんがお乳を吸おうとすると
攻撃的な態度を示した・・・と説明されていました。


日本で初めて出産したオランウータン、モリーさんの例もあります。

出産時の様子が『動物たちの世界』(朝倉繁春著)に
書かれていました。

1961年に上野で初子を出産したモリーさんは、
やはり、赤ちゃんを抱いてはいるものの授乳できず、
飼育員さんが介添えをして、10日後ぐらいから
自分でできるようになったそうです。

その後、第2児はやはり介添えが必要だったけれど、
第2児も第3児も自分で育てられたようです。
(同書は1977年発行なので、第4児については書かれていません)

この本には、ジプシーさんについても書かれています。

多摩で4頭の娘を育てたジプシーさんも
最初の出産では、赤ちゃんが泣くと口のまわりをなめたり、
背中をトントンしたりしてあやしてはいるものの
いっこうにお乳をあげようとしなかったので
飼育員さんが赤ちゃんの位置をずらして
授乳を覚えさせたそうです。

ところが、2週間たってもうまく飲ませることができず、
毎日、3、4時間おきに介添哺乳が続けられ、
自分であげられるようになるまで、1ヶ月かかったとのこと。
ジプシーさんがそんなにかかったとは意外です。

さらに、次女のサリーさんのときも、
授乳の様子が見られず、6日間の介添哺乳。

三女のチャッピーさんのときも授乳できず、
1日だけ介添えをしたそうです。
(四女キャンデーさんについては書かれていません)

あんなに何でも覚えてしまうジプシーさんが、
なぜ授乳に関しては覚えられなかったのか不思議。

そのときの様子が、
多摩動物公園の園長も経験している
故・増井光子氏の著書
『動物の親は子をどう育てるか』にも書かれています。

著者も、洞察力のあるオランウータンが
覚えられないはずがないのに・・・と思い、
以下のような推察をしています。

「育児とは、お産のたびに飼育員がやってきて
子どもの世話を手伝ってくれるものだ、と思ってしまったのではないか」

ジプシーさんは、飼育員さんが介添えをする流れも含めて、
育児として学習してしまったのかもしれない・・・ということですね。

クリコさんの例を見ても、きっとそうなんだと思います。

日本平動物園内機関誌「でっきぶらし」には、
ジュン君の母親であるクリコさんの「介添哺乳」に関する記事が
たくさんあります。

クリコさん、初産では赤ちゃんを抱くことすらせず、
育児放棄してしまったようで、赤ちゃんは死んでしまいました。

2度目の出産は、赤ちゃんを抱いたけれど、
ただ、ひたすら抱いているだけで、授乳する気配は全く見られず、
授乳を望める抱き方でもなかったため、やむを得ず人工哺育に。

3度目の出産では、ひょっとしたら自然保育という期待があったものの、
いくら待っても授乳の様子が見られず、介添を試みることに。
クリコさんの場合、その期間は3ヶ月間にもおよび、
自力で吸いつく赤ちゃんの哺乳妨害まであったようです。

4度目(ジュン君)も授乳の介添が必要だったのですが、
担当者が入っていくと、クリコさんはだらりと両手を下げて
担当者が介添えしやすい姿勢をとるようになったとのことで、
それがクリコさんの「学習」だったと語られていました。

バレンタインさん(人工哺育)以外は野生出身ですが、
幼い時に母親と離れ、他の個体が育児をしているところを
見る機会もなく、授乳の仕方もわからなかったのでしょう。

飼育下でも、「オランウータンの育児」を見る機会を作ることが
必要なのだと思います。

その点、弟と一緒に過ごせたミンピーちゃんは非常に恵まれています。
出産の瞬間や授乳など、母親のチャッピーさんのそばで全て見てきましたし、
キキさんの育児も見てきたので、
ミンピーちゃんはきっと授乳も問題なくできるでしょう。


上記の本は、ジプシーさんについて書かれている本として
昨年、多摩のオランウータン舎で紹介されていました。

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(2017年11月 多摩動物公園にて撮影)

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2018年11月15日 (木)

国内で飼育されているボルネオオランウータンの血縁関係 その3

いしかわ動物園で飼育されているドーネさんは、
2015年7月にブリーディーングローンで
福岡市動物園へ移動となり、
お腹に赤ちゃんを宿した状態で
2017年11月にいしかわ動物園へ戻りました。

しかし、今年の2月に死産。

体調などが心配されましたが、現在は元気にしているようです。

いしかわ動物園では、ブロトス君(推定22歳)とドーネさん(推定21歳)を
1999年から飼育していますが、
ドーネさんがいしかわ動物園へ戻ってきたときのリリースによると、
「2頭とも性成熟に達していましたが、交尾行動が見られなかったため、
この2頭の貴重な血統を活かすため、
ドーネを福岡市動物園に貸し出し繁殖を試みていました」とのこと。

「貴重な血統」とあるように、2頭とも野生出身です。

このペアで赤ちゃんが誕生するのが一番よいですが、
「交尾行動が見られなかった」とあり、
小さいときからずっと一緒に過ごしていたから
兄弟のような感覚になってしまったのかもしれません。

ちなみに、ドーネさん(推定21歳)と福岡のミミさん♂(推定48歳 野生出身)も
かなり年の差がありますが、仲良くなれたようです。
(ミミさんに関するブログ内の関連記事はこちら


2016年2月25日に撮影された2頭の様子が、
福岡市動物園の公式ブログで公開されていました。

2015年7月に福岡へ移動して、
11月末からお試し同居をはじめて
時間をかけてゆっくりと仲良くなっていったようです。

福岡市動物園の公式ブログには
『オランウータン「ミミ」「ドーネ」のお試し同居』というタイトルで
仲良くなっていく様子が記録されています(「その4」まで)。

ミンピーちゃん(11歳)とジュン君も(36歳)も、
こんな感じで仲良くなれることを願っています。

ドーネさんが今後、どこへ移動するかわかりませんが、
個人的には、ブリーディングローンで移動する前に
多摩でキキさんの育児を見学する機会を
作れたらいいのにと思います。

なぜならば、人工哺育でなくても、
幼い時に母親から離れて動物園で暮らしていた個体は
育児ができない傾向があるからです。
(詳細については次の記事で)

日本平のジュン君とペアになったベリーさんの母親ハナコさんも
野生出身でしたが育児ができずベリーさんとフトシ君は人工哺育。
ジュン君の母親クリコさんも育児ができず、
飼育員さんの介添えが必要でした。

そして、あのジプシーさんでさえ、飼育員さんの介添えが必要だったのです。

育てられるかもしれませんが、
育てられないとわかってから動いても、
チェリアちゃんのように、
よい代理母が見つかるとは限りません。

バレンタインさんは、30歳をすぎて
多摩で他のオランウータンから様々なことを学び、
やっと「オランウータン」としての生活を始めることができました。

バレンタインさんとチェリアちゃんの移動が実現できて
本当によかったと思います。

送り出す側も受け入れる側も、いろいろと大変だったと思いますが、
オランウータンたちの幸せを考えたら
移動させることが一番よいと判断したから実現できたのでしょう。

ドーネさんに関しても、
もう、どこの園の所有とかは関係なく協力して、
ドーネさんが母親になれるように
できる限りの準備をしてあげてほしいなと思います。

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2018年11月14日 (水)

国内で飼育されているボルネオオランウータンの血縁関係 その2

今年はボルネオオランウータンの移動が多く、
円山動物園からはハヤト君(8歳)がとべ動物園へ
ブリーディングローンでの移動となりました。

ただ、とべ動物園で飼育されているのは
スマトラオランウータン♂1頭なので
ペアになる相手はまだいません。

ハヤト君より年上のオスが他にも2頭、
多摩からブリーディングローンで
19981年に宮崎市フェニックス自然動物園へ、
2014年に平川動物公園へ移動していますが、
どちらもまだパートナーはいません。

国内で飼育されているボルネオオランウータンの約半数は、
ジプシーさんの家系です。

フェニックス自然動物園のハッピー君(25歳)、
平川のポピー君(18歳)、
どちらもジプシーさんの孫。

ハヤト君の父親・弟路郎君は
故・タンゴ君とロリーさんの子どもであり、
ロリーさんはジプシーさんの孫。

つまりハヤト君も、だいぶ薄まってはいますが
ジプシー系となります。

ジプシー系ではないメスを調べてみると、
非常に少ないです。

レンボー 20歳(円山動物園)→ハヤトのお母さん
リアン 26歳(旭山動物園)→育児中
キキ 18歳(多摩動物公園)→育児中

バレンタイン 32歳(ズーラシア)→多摩へ留学中
チェリア 3歳(ズーラシア)→多摩へ留学中
ドーネ 推定21歳(いしかわ動物園)

パッと見ただけでも、厳しい状況です。

ジプシーさんの家系のほかに気になるのが、
弟路郎君の父親・タンゴ君の家系。

タンゴ君はイギリスのトワイクロス動物園から
釧路市動物園に来ましたが、
バレンタインさんと同じ両親から誕生した、
バレンタインさんの兄。

つまりハヤト君は、バレンタインさんや
その娘であるチェリアちゃんとも血縁があります。

繁殖計画の際、どこまでの血縁を考えるのかわかりませんが、
現状のままでは、国内で「血縁がない」パートナーを探すことは
非常に難しいでしょう。

関係を図にすると、こんな感じだと思います。

Photo


「血縁がない」という点で非常に貴重な存在となる
ドーネさんについては次の記事で。


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2018年11月13日 (火)

国内で飼育されているボルネオオランウータンの血縁関係 その1

ミンピーちゃん(11歳)とペアになるオスは、
日本平動物園で飼育されているジュン君(36歳)。
かなり年の差があります。

お別れ会のときに多摩の飼育員さんが、
ジュン君の両親は野生出身なので
同じ系統ばかりにならないためにも
ぜひとも子どもを残していきたい、
そのためにミンピーちゃんが移動するのだと
説明していました。

ジュン君の子どもは、現在、ズーラシアで飼育されている
ジュリ君(正式名 ジュリー)だけですが、
交尾ができないそうで、このままでは
ジュン君の血筋が途絶えてしまう可能性が高いとのこと。

ジュリ君のことも気になったので、
ジュン君の両親などについて調べてみました。

ジュン君の両親などの情報は、
日本平動物園のサイトでバックナンバーも読める
「でっきぶらし」に詳しく書かれています。

まず、ジュン君の両親はどちらも野生出身の個体で、
テツさん♂とクリコさん♀。

クリコさんは他に2頭の子どもを産みましたが、
2頭ともすでに死亡しています。

クリコさんは育児の仕方がよくわからなかったようですが、
ジュン君は人工哺育にはならず、
飼育員さんが介添えをしてクリコさんが育てたようです。
しかし、ジュン君が1歳3ヶ月のときにクリコさんが病死。
その後は飼育員さんに育てられたようです。

そして、ジュン君とペアになり
1993年にジュリ君を産んだのは、
野毛山動物園生まれのベリーさん。

ベリーさんも野生出身の両親(ジャワ♂&ハナコ♀)から誕生しましたが、
母親のハナコさんは育児ができなかったようでベリーさんは人工哺育。
この両親からはフトシ君(千葉市動物公園)も誕生していますが、
やはりフトシ君も人工哺育でした。

関係を図にすると、こんな感じだと思います。
1_2


ここでも「人工哺育の連鎖」が起きていて、
ベリーさんはジュリ君を自分で育てられなかったので
ジュリ君も人工哺育となってしまったのです。

人工哺育だとメスは育児ができない確率が高いようですが、
オスの場合は交尾ができなかったり、
メスを乱暴に扱ってしまうことがあるようです。

ベリーさんの弟フトシ君(千葉市動物公園)も、
ナナさんと16年間ペアで飼育しても妊娠に至らず、
2015年に3回人工授精の施術を実施しましたが、
それもうまくいかなかったようです。

しかし、イギリスの動物園で人工哺育だったタンゴ君は、
釧路市動物園でロリーさんとペアになって
複数の子どもを残しています。
(タンゴ君については、次の記事で)

話をジュン君に戻します。
ベリーさんが2000年に病死してしまい、
その後、2001年にジュリーさん(ジプシーさんの長女)が
ジュン君のペアとして日本平へ移動しました。

しかし、ジュリーさんは日本平になじめず、
ジュン君と同居することもなく2005年に多摩へ戻り、
今はチェリアちゃんの代理母として幸せに暮らしています。

ジュリーさんとの同居がなかなか実現しなかったので
2003年にキャンデーさん(ジプシーさんの四女)が来園し
ジュン君との同居を試みたのですが、
力づくで押さえつけて、爪で怪我をさせてしまったそうです。

キャンデーさんが怖がってしまったので、
その後は時間をかけて檻ごしのお見合いを続け、
2010年にクッキー♂が誕生しましたが、
2歳になる前に死亡してしまったようです。

それからずっと赤ちゃんが誕生しなかったようで、
キャンデーさんは今年6月に千葉市動物公園へ移動となりました。

ちなみに、今年の5月に千葉市動物公園から
ズーラシアへ移動となったナナさんは、
キャンデーさんと故・ラーマン♂(野生出身)の娘です。

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(ミンピーちゃん 2018年11月 多摩動物公園にて撮影)

なんだかいろいろ心配になりますが、
ジプシーさんと一緒に過ごしてきたミンピーちゃんなら、
きっと大丈夫!・・・と信じたいです。

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2018年11月12日 (月)

多摩動物公園のオランウータン

ミンピーちゃんが11月14日に日本平動物園へ移動になるとのことで、
移動前に多摩でもう一度会っておきたいと思い、
久しぶりに多摩動物公園へ行ってきました。

午前中、大きい方の放飼場にはキキ&ロキ&リキ親子と、
ジュリー&チェリアが出ていました。

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チェリアちゃんはジュリーさんから離れて
一人で遊んでいる時間も多くなり、
リキ君とも一緒に遊べるようになっていました。

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チェリアちゃんもけっこう気が強くて、
「遊んでいる」かは微妙なときもありますが、
以前のように嫌がってばかりではないようです。

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リキ君、よかったね(^^)。

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そんな2頭を、少し離れたところから見守っていたジュリーさん。

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でも、まだ「おんぶ」も頑張っています(^^)。

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そして、6月29日に誕生したロキ君にも初めて会えました♪

12月にはズーラシアへ帰る予定のバレンタインさんが、
多摩にいる間にキキさんの子育てを見られるなんて
素晴らしいタイミングでの出産です。

もちろん、チェリアちゃんにとってもよい経験となるでしょう。
ジュリーさんの愛情を受け、キキさんの育児を間近で見れば
チェリアちゃんもきっと子育てできるようになって、
「人工哺育の連鎖」が断ち切れるでしょう。
(ブログ内の関連記事はこちら


Dsc_5268
スカイウォークは、キキ&ロキ&リキ親子の当番でしたが、
あまり気が乗らなかったようで、途中までしか行かず
早々に帰ってきました。

ロキ君、しっかりしがみついていましたが、
見ている方がヒヤヒヤしちゃいます。

午後からは室内での展示で、
キキ&ロキ&リキ親子と、バレンタインさんが一緒でした。

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うまく撮影できませんでしたが、
ハンモックでのんびりしていたキキ&ロキ親子のところに、
バレンタインさんが入り込んできました。

バレンさん、大きいので威圧感があり、
キキさんには迷惑だと思いますが、
どんどん観察してほしいと思います。


そして、2時からは大きい方の放飼場で
ミンピーちゃんのお別れ会がありました。


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ミンピーちゃん、12月10日で12歳になります。

まだまだ「優しいお姉ちゃん」のポジションで
多摩にいてくれると思っていましたが、
キキさんがリキ君を産んだのも12歳でした。

ミンピーちゃんも、そんなお年頃になったのですね。

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ミンピーちゃんの子育てを多摩で見られないのが残念ですが、
チャッピーさんがアピ君を育てる様子を
間近で見てきたミンピーちゃんなら、きっと優しいお母さんになれるでしょう。

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アピ君は、もうお姉ちゃんと遊べなくなります。

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チャッピーさんも寂しくなるでしょう。

ミンピーちゃんのお相手となるジュン君についても調べてみましたが、
長くなったので次の記事で。


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2018年11月 6日 (火)

「まいばすけっと」の復興支援商品

イオングループのミニスーパー「まいばすけっと」で、
北海道胆振東部地震の復興支援商品が販売されていました。

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売り上げの1%が、義援金として日本赤十字社を通じて
被災地へ送られるそうです。

ツイッターなどを見ると他にもいろいろ売っているようで、
どんな商品があるか知りたかったのですが
イオングループのサイトなどを見ても
リリースなどは見当たりませんでした。

お店でも地味に販売されていてたので、
チーズアイスが「セイコーマート」のPB商品だということにも
気づかず、最初に見た時は素通りしてしまいました。

普段買えないような商品もあり、
少しでも義援金になるなら
もっと広く知られるように告知すればいいのにと思います。


「北海道フェア」は11月13日までのようです。


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