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2018年2月12日 (月)

講演会 「Oh! オランウータン 森のヒトのふしぎ」

多摩動物公園で開催された講演会
「「Oh! オランウータン 森のヒトのふしぎ」」に
参加させていただきました。

事前申し込みが必要で、定員150名とありましたが、
260名ほどの参加となったようです。
午前中には子ども向けのワークショップもあったようで、
その流れからか質問タイムには
利発そうなお子さんたちの声も聞かれました。

研究者や飼育員さんなどが下記のテーマでお話され、
それぞれとても興味深い内容でした。

講演1「オランウータンの身体のヒミツ」

講演2「オランウータンの森のくらしのヒミツ」

講演3「オランウータンが見せる平和力」

講演4「日本初、代理母の取り組み」

以下、録音・撮影不可であまり詳しくメモも取れなかったので
間違っているところもあるかもしれませんが、
雰囲気だけでも伝われば・・・と思い印象に残ったことを書いておきます。
(私の関心は主に多摩のオランウータンにあるので、そこに絡む話が中心です)

Dsc_1714
(キキさん)

昨年開催されたジプシーさんの講演会でも見せていただいた動画を
講演3でも見ることができました。
あれ、DVDで発売してくれないかしら(^^)。

キキさんが来園したばかりの頃、
一緒に放飼場に出たチャッピーさんがキキさんを追いかけ、
それを止めようとするジプシーさんを映した動画。

自分の娘であるチャッピーさんの味方をするのではなく、
血縁関係でもないキキさんを守ろうとするジプシーさん。
すでにけっこうなお年でしたが、必死でキキさんを守ろうとしていました。

森の中で単独生活をしているオランウータンは、
群れで暮らす類人猿と違い、
他の個体を助けたりする必要がないようなイメージがあります。

しかしオランウータンについてはまだ知られていない部分が多いので、
実は、人間に知られていないだけで、
オランウータンにもそのような性質がもともとあるのかもしれない。
それが、このようなシチュエーションになり、
引き出されたのではないか・・・というようなお話もあったと思います。

動画の最後、ジプシーさんもチャッピーさんと一緒になって、
キキさんのお尻チェックをしている部分が
前回見たときもツボだったのですが(^^)、
研究者たちにも「謎」だというのが面白かったです。

あれは何をしているのか、何の意味があるのか、
みんな気になっているのですが、誰にもわからないようです。

Dsc_1813

 

Dsc_1828
(アピ君)

講演2は、ボルネオ島の森で暮らすオランウータンのお話。

基本的には単独生活をしているものの、
当然、森の中で出会うことはあるわけで、
そのような時に子ども同士を遊ばせることもあるそうです。

特に、メインの食べ物である果物が豊富な時期は、
血縁関係がないオランウータン同士が
「つるんでいる」こともあるようです。

また、若いメスは、子どもを連れた母親と出会ったら、
母親の行動を観察して育児について学んでいるのかもしれない。
森の中での出会いや観察が、
スキルアップにつながるのでは・・・とのこと。

その可能性を示す例として、
因果関係はまだはっきりしていないとのことですが、
とても興味深い事例がありました。

同じエリアで同じくらいの年のメスが2頭、
ほぼ同時期に初出産。

食べ物などの条件は同じでしたが、
メスAは以前からずっと、
ある親子にくっついて生活していた。
メスAは赤ちゃんの抱きかかえ方なども上手で、
初産であったのにとても上手に子育てをした。

一方、メスBは単独で、赤ちゃんの抱き方などもぎこちなく、
数日後に観察したときには、もう赤ちゃんはいなかった。
赤ちゃんを落としたか、何らかの事情で
赤ちゃんを失ってしまったのだろうとのこと。

この事例は、メスAが観察によってスキルアップした可能性を示唆しています。

そしてこのお話は、バレンタインさんのケースにもつながると思います。

Dsc_1754
(バレンタインさん)

一番聞きたかったのは講演4ですが、
バレンタインさんも観察や放飼場での同居によって
いろいろ学習していることがわかりました。

そしてそこには、やはり、ジプシーさんの存在も大きかったようです。

バレンタインさんとチェリアちゃんについて初めて知った方は、
こちらの記事内(2017年1月)のリンクをぜひお読みください。

 

Dsc_1806
(リキ君)

天真爛漫なリキ君は、「見知らぬおばさん」にも自ら接近していきます。
しかし、他の個体と「遊んだこと」がなかったバレンタインさんは、
力の加減がわかりません。
リキ君を噛んで出血させてしまったこともあったようです。

そんな中、バレンタインさんがあんまり力いっぱいのときは
ジプシーさんが間に入ってやめさせるなど、
バレンタインさんに力加減を教える役割を果たしている動画も見せていただきました。

そのような経験をする中で、バレンタインさんも力加減がわかってきたようです。
今ではすっかりリキ君と「お友達」になり、
31歳(もうすぐ32歳)が5歳児と同じレベルで楽しく遊んでいます。

人工哺育だったバレンタインさんは、
多摩でいろいろなことを吸収して
これから「オランウータン」へと成長していくのでしょう。

バレンタインさんの契約は2年間とのことなので、
今年の末にはズーラシアに戻るようです。

Dsc_1793
(バレンタインさん)

もう1つとても興味深かったのは、
まだ外の放飼場に慣れていない頃、
第1放飼場へ出たバレンタインさんは、
夕方になっても寝室へ戻ることができず、
そのまま外で一夜を明かしたことがあったそうです。

そして、翌日になって寝室に戻れたバレンタインさんが
ポロポロと涙を流したとのことで、
この涙に飼育員さんも驚いたそうです。

どんな感情から「涙」を流したのかは、
知るすべはありませんが、
心細かったり、怖かったり、戻れて安心したなど
いろいろな気持ちが混ざっていたのかもしれません。

 

Dsc_1863
(ミンピーちゃん)

代理母候補を決めるときに、ジプシーさんは高齢すぎ、
キキさん、チャッピーさんは子育て中なのでダメとのことで、
第一候補がジュリーさん、第二候補がミンピーちゃんだったとのこと。
もしもミンピーちゃんだったらどうなっていたのか、気になります。

お母さんの育児を見ているので、
もしかしたら、育てられたかもしれませんが、
チャッピーさんが受け入れなかったかもしれません。

ジュリーさんが「コドモ好き」でよかったのですが、
過去に衝撃的な事件(?)があったそうでビックリしました(^^)。

ジュリーさんはコドモが好きすぎて、
2歳のリキ君を「お持ち帰り」してしまったそうです。

講演4のときは開始からすでに時間が押してしまっていたので、
このあたりはあまり詳しく話されなかったのですが、
キキさんの反応や、どうやってリキ君を返したのかなど、
もっと詳しく聞きたかったです。

私はそれほど頻繁に多摩へ行っているわけではないので、
それまでジプシーさん以外とは距離をとっていたジュリーさんが、
リキ君と遊んでいるところを初めて見たのは2015年1月でした。

2015年1月のブログ記事はこちら

「お持ち帰り事件」は2015年5月とのことなので、
この後の出来事だったのですね(^^)。

それにしても、リキ君は、
バレンタインさんとチェリアちゃんが
多摩のメンバーと同居できるようになったことにも
とても大きな役割を果たしているんだと
改めてわかりました。

昨年放送されたNHKのドキュメンタリー番組、
「こんにちは!動物の赤ちゃん 10周年スペシャル」でも、
チェリアちゃんを他の個体と同居させたときの映像が流れましたが、
リキ君がチェリアちゃんにちょっかいを出したから、
チェリアちゃんはジュリーさんの懐に逃げ込み、
「抱っこ」が実現できたのでした。

そして今では、バレンタインさんの「お友達」でもあるリキ君。

ジプシーさんはリキ君が大好きで、何をされても受け入れていました。
ジプシーさんを観察しながら育ってきたリキ君が、
これからどんな風に成長していくのか楽しみです。

多摩に来た当初はぎこちない動きだったチェリアちゃんが、
今ではすっかりオランウータンらしい動きになっている動画も
見せていただきました。

この日は午前中にジュリーさんとチェリアちゃんは放飼場に出ておらず、
2頭を見ることができなかったのが残念。
次に行くときには、きっともっともっと成長していることでしょう。

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